先日PTGBDについてお話ししましたが、一定数の方で逸脱、つまり胆嚢内にカテ先が入っていたはずが抜けてしまっていることがあります。穿刺時にストレートに肝臓を通して綺麗に入ったのに、翌日や数日後に胆汁が排液されないなと思ってX線やCTを見ると抜けているなんてことがあります。実際、固定がしっかりされている状態であれば抜けた原因としては、呼吸性変動などの影響で腹腔内でカテがたわんでしまい徐々に抜けてしまうというところでしょう。手技の問題ではないため対処が困難です。起こってしまうと、まじかーっと悲しくなり、その後の胆嚢炎の対応を考えます。
チューブ逸脱は20%弱で起こるというデータもありました。チューブの胆嚢内留置距離を短くしないようにする、ある程度こしがあり太いカテを選択する、などの工夫くらいしか出来ないかと思います。ちなみにPigtail型とBalloon型のPTBDチューブだと、Pigtail型の方が逸脱しづらいとのことでした。
自分が経験した症例では、肝臓内でたわんで先端が胆嚢から抜けかけてしまったことや、完全に逸脱して肝表面を損傷して横たわっていたことがあります。留置した翌日のX線検査はルーティンで見る必要はありませんが、排液が少してもおかしいなと思ったら検査をしておき、簡単に再留置できるようなら行えばいいと思います。
最悪なのは逸脱により胆汁性膜炎をきたし緊急手術が必要となってしまうことと思います。
前述の症例では、前者はまだ先端が胆嚢内であったため、こしのあるカテに入れ替えをしました。後者は血腫がシリンジでも引けずCTで溜まりもなかったため、炎症改善傾向でもあり、一旦クランプし後日抜去し様子をみて、胆嚢摘出術を施行しました。
逸脱してしまうことは仕方ありませんが、まずは早めに気づくことが大切かと思います。他、対策があれば考えておきます。
どうもありがとうございました。 tino
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