夜中に電話が来ました。救急外来から50代男性。CTが腸管外airがあるため下部穿孔が否定できないので画像を見てほしいと。主訴は発熱・下腹部痛。2日前に腹痛発症し昨日から38度の発熱があったため病院受診。身体所見上は下腹部に圧痛あり、反跳痛はないが腹膜刺激兆候があるとのこと。救急外来では採血・CTがなされていて、採血で炎症反応上昇、CTでS状結腸を中心に憩室が見られ腸管外air・膿瘍形成があるとのことでした。腹水はありませんと。ちなみにバイタルは発熱以外異常なし。
電話を受け話を聞いた時点では、憩室炎でいいのでは、と思いました。ただ、画像を見ていない以上、というか救急の先生がfree airが否定出来ないとあれば画像を見に病院に行く他ないのか・・・、と思いましたが、何かあっても困るので病院に行くことに。
結論、憩室炎と診断し帰宅の方針にしました。誤診でないことを祈ります。(結果、保存加療で軽快しました。)
まず病院に着いて血液検査を見ました。確かにWBC13000、CRP11と炎症はしっかりありました。そのほか特記事項なし。CT画像上は、S状結腸中心に憩室多数、周囲脂肪織濃度上昇あり、腹水なし、壁肥厚は全層性といったところ。璧外airは認めています。
本人のところへ。普通に歩けています。自発痛は強くなさそう。腹部はいわゆる平坦軟。下腹部に圧痛あり、円形というかなんというか虫垂炎のような限局の仕方ではなさそう。反跳痛なし。硬結は触れません。
外来フォローと入院を提示。本人は外来を選択しました。それくらいの辛さなのでしょう。1・2日のクリアリキッド(絶食・飲み物のみ)+1週間抗生剤内服で帰宅。後日、外科外来でフォロー、症状軽快、採血良好でした。2・3日して低脂肪低タンパク食から開始、今後も食物繊維食を増やすように指示しました。もちろん待機的手術をするものではありませんが、再燃することがよくあるので注意深く見てもらうように言いました。
airについては、憩室壁のmicroperforationは起きているでしょうし、局所的な膿瘍形成があるため腸管外へのairはよくあるのかなと。下部穿孔との鑑別含めて、典型例の印象を持ちつつトータルのバランスを考えて診断をつけるのがよいと思います。発熱・反跳痛くらいはよくあると思います。中年・肥満体型・自発痛より反跳痛・数日の経過・食欲あり・痛みの移動なし・圧痛の限局性など典型的です。あとは画像診断。free air出ないこと・腹水有無はしっかりチェックです。もちろん、憩室炎と思いつつはっきりしない・症状強い・リスク高い(高齢・免疫不全・基礎疾患)場合は、経過観察入院や点滴抗生剤使用の保存加療もいいと思います。
では。tino
コメント